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事件:更新2017/05/05

個性派床山・床罵詈冠、傷害で逮捕

5日、警視庁は個性派床山、あるいはカリスマ床山として知られる床罵詈冠(とこばりかん)容疑者を傷害の疑いで逮捕した。

調べによると、同容疑者は昨日正午頃、いつもマゲを結っている力士に対してバリカンをふるって丸坊主にした疑いが持たれている。同容疑者が所属する途橘風部屋では朝稽古後にマゲを整えるのが習慣となっているが、一昨日までは同容疑者も全ての力士のマゲを普通に結っていたという。

床罵詈冠容疑者は相模協会内では特等床山の地位を占めるなど床山として最高の地位を占める。大銀杏を結わせたら天下一品とは角界の誰もが語るところでその実力は折り紙つきだ。ただ、その芸術性は同容疑者の性格にまで及んでおり、ここ数年はバリカンを使ってマゲが結えないか悩んでいたという。

「『不射の射』ならぬ『不結の結』、彼の信念はその境地に及んでいた」と同じく特等床山の床派尼(とこぱあま)氏は語る。仕事こそ普通にこなすが、空いた時間は常に『不結の結』を追究していたといい、「恐らく、目に見えないマゲにこそ価値があると達観した結果」(前出の床派尼氏)の凶行だろうとのことで、マゲを見えなくするためにはバリカンで刈り上げるのが一番との結論に達したのだろうと関係者は見ている。ちなみに、床派尼氏は自ら調合したパーマ液で力士の髪を全て溶かす「見えないマゲ」の先駆者として知られており、1年前に力士の頭皮まで溶かした罪で服役していたがつい先日出所したばかりだ。

床山の仕事は力士のマゲを結うということでよく知られているが、その専門性の高さは特に海外でよく知られており、中には世界美容師コンテストで並み居るカリスマ美容師やカリスマ理容師、カリスマ植木職人を押さえて世界一になった猛者も何人かいる。中でも床視座阿須(とこしざあず)はハサミを華麗に駆使してマゲを結うのを得意としており、世界を制した際に開発したとされる「心眼で見るマゲ」は一見するとただの丸坊主だが、見る人がその頭頂部にマゲを思い浮かべることで1,000、いや10,000のマゲが無数に見えてくるという芸術性の高さが評価されている。彼もまた先月、自らが所属する部屋の横綱のマゲを「心眼で見るマゲ」にしてしまい賠償請求をされ現在係争中だ。

今回の一件は、激昂する力士が多い一方で、極一部の力士からは支持する声もあるという。「彼らのような床山が増えてくれれば引け目を感じなくて済む」(力士A)、「全員丸刈りでも誰も困らない」(力士B)など、共通する視点からの床罵詈冠擁護が多数を占めているとされ、この動きが加速すれば、江戸時代以来変わることがなかった力士の髪形の自由化という大きな潮流を生む可能性すらあると専門家は見ている。そのようなわけで、どうやらこの事件、当分の間は注視する必要があろう。


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