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角界:更新2013/5/13

弓取り式で死者

大相撲五月場所二日目、結びの一番で横綱が敗れる波乱があった。その際、館内の座布団投げの自粛を促すアナウンスが流れる中、それを無視するかのように座布団は乱れ飛んでいたのであるが、それは弓取り式のさ中も続いていた。弓取りを行う江戸ノ久慈はそれを交わしながら懸命に弓取りに臨んだものの、回している最中の弓に飛行中の座布団が当たり、その衝撃で座布団が飛散。その飛散した座布団の直撃を受けて、砂かぶりに座っていた観客3名が即死した。

調べによると、館内必死にアナウンスにもかかわらず座布団投げは延々と続けられ、しかし場内の進行を止める訳にもいかなかった江戸ノ久慈は行司に促されるまま弓取り式を続行。本人の体はかろうじて座布団を交わすものの、彼の回す弓まではコントロールできず、不幸にも弓に座布団が当たった際に弓の高速回転によって座布団はいくつかに引き裂かれ、高速回転していた弓に跳ね飛ばされた座布団は、その勢いのまま観客席に飛び込み、被害者の頭や胸に強く当たったことで被害者の命を奪った模様。

この件に関して相模協会は「観客の方の尊い命が奪われたことを心からお詫びいたします。なお、館内の座布団にはすべてICタグがついているので誰が投げたかは既に分かっている。このタグ情報はすでに捜査関係者に渡しているので、今から警察に自首しても無駄だ。座布団を投げるなっつってんのに投げてしまった己の不明を恥じるが良いわ、フハハハ」とのこと。

捜査関係者も、「すでに加害者の特定は済んでいる。弓取り式の最中に座布団を投げたら人が死ぬだろうくらいのことは想像出来て当たり前。3人亡くなっているから、最近の厳罰化の流れからすると死刑は免れえないだろう」とコメント。「そもそも、被害者とその加害者の関係においては、被害者の保険金の受取人が加害者の従妹と同じ町内に住んでいることが判明したため、事故から殺人事件に切り替えて捜査を進めることに決定した」と発表をした。

この事件が殺人事件として取り扱われることになったため、当事者の江戸ノ久慈と本村庄之助については「実行犯だが、利用されただけ」として重い罪には問わない方針。しかし、「殺人の片棒を担いだ罪は免れえない」として両者とも明日からの休場を余儀なくされることとなった。仮に有罪判決が出れば二人とも解雇は免れ得ず、協会関係者は「当事者にとってはほとんど事故のようなものなのにこんなことで前科者にされたら溜まったものではない」と不満をあらわにした。

なお、捜査関係者は、「江戸ノ久慈の姉の夫に当たる人物の叔父のいとこの会社の同僚の隣に住んでいる人の弟が被害者の一人と判明しているので、いずれ江戸の久慈にも司直の手が伸びるだろう」としており、本村庄之助も江戸の久慈と顔見知りであることからすでに二人とも当局の監視下に置かれているらしい。協会関係者の中には「とっとと解雇してしまいましょう」と浮足立つ向きも見られるといい、相模人気回復に「一難去ってまた一難」という状況はまだまだ終わりを迎えることはないようである。

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