角界:更新2008/06/23 スピ一ド社製マワシで
金星続出
ここ最近"金星"が増えている―。
"金星"とは平幕力士が横綱を倒した時の勝ち星のことを特にこう呼ぶ。普通の勝ち星を一般に白星というが、"金星"は力士の給金を大幅にアップさせることからこの名がついているとされる。そして、これが最近増えているのは、スピ一ド社のマワシが一躍買っているという評判なのだ。
先場所、2つの金星を取った秋乃島は語る。
「ウハハハ、このマワシはいいね。どちらの横綱(朝鯖龍、百鵬)も面喰っていたよ。俺はマワシを取られると弱いから思い切ってこのマワシを購入して一番に臨んだ。効果については半信半疑だったけど、予想以上だった。あり得ない位、理想的なマワシだったということだね。まあ、強いて難点を挙げれば、結構値段が高いことと耐久性がないこと、かな」
ところで、よく知られているスピード社製の水着といえば、体の凹凸をとにかく出ないようにし、水着の縫製部分も超音波で消すなど合理的かつ徹底した工夫で知られている。これを着用した選手が次々と高記録を出すなどしてメディアで盛んに喧伝されているところである。
これに対してスピ一ド社製のマワシは、マワシそのものが体に極端に食い込むことで可能な限りボディ・ラインに同化し、回しも含めた体表面の凹凸をなくすことで基本的に全裸とかわりない状態を作り出すことに成功した。その結果、「マワシが取られにくくなった」、「マワシを気にせず相撲が取れる」、「俺のはマワシの上からでも分かるほど太いので、それを隠せるようになったのは少し寂しい」といった、力士の究極の理想に答える形となったようである。
その一方で、値段が高い割りに耐久性がないことから購入するのに足踏みする力士も多くないという。とある幕内力士は語る。
「先場所、兄弟子が9日目で7敗目を喫した時点でこのマワシを思い切って購入しました。このマワシの説明書によると、耐用期間はわずかに5日。一日足りない。でもほら、食べ物の賞味期限って1〜2週間は平気じゃないですか、牛乳とか。だから、ま、いっかてな感じで千秋楽の土俵に上がったんですが…。布の裂ける音が響いたと思ったら、縦褌から…。股間から…。兄弟子の肌色のチューリップが・・・」
値段は普通の締め込みの倍はする一方で、その耐用期間は上にもある通りわずかに5日。その耐用期間を過ぎると裂けやすくなったりするため、スピ一ド社は「耐用期間を過ぎた後着用するのは自殺行為」と警告している。件の「兄弟子」は立ち合いで当たった瞬間にタテ褌が裂け、土俵の真ん中で局部を露呈。いわゆる「不浄負け」を喫した。彼は未来永劫、マニアの間で語り継がれるだろうが、そんな語り継がれ方をされてはたまったものではない。躊躇するのも当然だ。
そして、「マワシを締めるのに2時間、ボディ・ラインに同化するのに3時間かかるのが面倒」、「どう見ても全裸なのでなんか嫌だ」、「体からサガリが生えているみたいで何かキモイ」といった、着用時とその見た目に対する不満もあるようだ。
とはいえ、先場所の千秋楽は役力士を含めて多くの力士がスピ一ド社製のマワシを着用して土俵に上がった。勝負に対するあくなき執念はデメリットを度外視してまで追求するもの、なのであろう。もっとも、一見すると全裸であることから大相撲放送中に「力士がみんな全裸なんだが!」という苦情電話が殺到するなどしており、当分の間はスピ一ド社製マワシをめぐる混乱は続きそうだ。
大相模協会広報部 菰田山親方(元小結・小乃国)の話
「スピ一ド社製のマワシを着けているか全裸なのかの区別は、何かギャランドゥが一番下まで行って尻までつながっているときは全裸ですのでその時は通報して下さい。」
ら王
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