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エンターテインメント:更新2016/10/03

アニメ映画『君のしこ名は。』空前のヒット

日本のアニメ界に新たなる新風が――。アニメ映画の鬼才・古山偽監督製作の『君のしこ名は。』の封切りからまだ一週間ほどしか経っていないが、すでに興行収入が百億円に達しようとしている。現実に潜むシリアスさを切り取ったというこの作品、いったいどのように観客の心を掴んだのか。

ストーリーは単純。有望な若手力士・三葉瀧(みつはたき)は過酷な稽古を来る日も来る日も重ねて順調に出世していくが、いつからか相手力士の四股名が読めなくなっていた。激し過ぎる稽古のせいで記憶障害が起きていたのだ。そして場所ごとに字を忘れていき、対戦相手に「君の四股名は?」と尋ねては相手力士から罵倒される日々を送ることになる。いつしか「俺の名を言ってみろォォォ!」などと尋ねる前から先制攻撃を受け、そのストレスによって字の記憶がますます失われていく。そして三葉瀧は、四股名に最も使われているというかな文字、ひらがなの「の」とカタカナの「ノ」しか読めなくなっていた――、というファンタスティックな内容である。

彼の記憶障害は稽古を休めば進行しない。しかし稽古をしないと強くなれない。そのジレンマに苦しむ彼と、それを助けるどころかからかったり罵倒したりする同僚の力士達との対比が見どころとなっており、同作品に流れるビビッド・ホラーのテイストを基調としながら、それをあくまでコメディ映画として成立させようとする古山監督の執念によって、この作品は稀有なハートフルなバイオレンス・コメディとして昇華したといってよい。素っ裸で国技館の外に飛び出し、町行く力士でも何でもない人に片っ端から「君の四股名は?」と尋ねて走り回る三葉瀧の姿は、ストレスフルな現代社会に生きる若者達のメタファーといえ、その当の若者達を中心に支持を集めているのは間違いなく古山監督の「計算」が当たったことを意味するものだ。

「高みに登るために、土台をなす大事なものを失っていく。そのくせ、その高みとやらにい続けることはほとんどできない」とは古山監督の言葉だ。正直何を言っているか分からないが、その哲学的なところもまた難しいことを分かった気になりたがる傾向の若者達の心を掴んだようである。観客のほとんどはシリアスな展開に笑い、怒り、そして涙する。ラスト間近に三葉瀧が最後まで覚えていたカタカナの「ノ」の字を忘れてしまった瞬間、「……ナイキ?」とつぶやくシーンを絶賛するファンはたくさんいる。ブログやツイッターではそうした向きがほとんどで、「彼が『ノ』の字を『ナイキ』といった瞬間、涙腺崩壊」とか「彼の最後の力士識別手段が『ノ』の有無だったのにそれすら失われる角界の非情に涙」とか「全ての力士はもう全部数字で表してしまえ、1号とか2号とか」といった文字がネット上で散見される。そして衝撃のラストへ突っ走るのであるが、それをここで書くのは控えておきたい。

また、三葉瀧が親方夫人である女将さんと入れ代わってしまう場面は、熟女好きの三葉瀧がその状況を喜んで受け入れたのもつかの間、親方との夫婦生活を経て深刻なトラウマと新たな性癖を抱えてしまうというものだったが、そもそもアニメ好きの若者に熟女好きはほとんどいないので、この場面だけがネット界隈でも酷評、または無視されている。「入れ替わるのなら親方の娘(10歳)にすべきだった」という指摘が各方面からなされている。もっともな指摘というべきか。

そして、この映画のもう一つの売りは「応援上映」。「応援上映」のときは、相手力士の四股名を三葉瀧が忘れてしまった時にその四股名を観客が叫んであげれば、それを思い出してその後の展開が少しだけ変わるというギミックを用いている。もっとも、ストーリー自体は通常の上映と同じエンディングを迎えるため、ほんの一瞬だけ三葉瀧が相手力士の四股名を思い出して少し違った展開が見られるとはいえ、絶望のハッピーエンドを変えることはできない。しかし、僅かな希望を与えられることに観客は高揚感を覚えることができるため、「『応援上映』を最もうまく利用できた映画」(映画評論家)と絶賛する向きもある。もちろん、希望の後に必ず絶望を見ることになるので、サディスティックな観客にとっては大変後味の良いものになるのは間違いない。

観客の心を掴むシリアスかつハートフルな展開、という「王道」路線を押さえつつも、「応援上映」に見られる野心的なアイデアを積極的に取り込む姿勢が今回の大ヒットを生んだのは間違いない。同時期公開の、これまたアニメ映画であるが、体重の極限に挑む500kg超の力士達を描いた『肥えの形』も興行的にかなり健闘している。アニメはまさに新時代に突入した。これからも野心的な新作が生み出され続けることだろう。


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