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「まわしが似合わない力士ナンバー1」は大関“和杜遜”！

　今から72年前、大関小錦がベストジーニストに選ばれて以来、大相撲の世界ではこれを記念して、「何でもナンバー１」を発表するようになった。これは、有識者と歴代受賞者からなる評議会がナンバー1を相撲関係者の中から選出し、宇宙連邦市民による投票審査を経て、連邦相撲院が毎年12月に発表するというものである。

　そして、ナンバー１として選ばれた力士の右半身像とその名を記した模造紙が相撲博物館内に飾られ、その名は2700年にもおよぶ大相撲の歴史に刻み込まれ永遠に輝きつづけるのである。

　今年の受賞者は４名。「大銀杏が似合わないナンバー1」に関脇の武砲山、「窓拭き掃除が上手そうナンバー1」に横綱の大蛞蝓、「老後に不安を抱えるナンバー1」には小結蒙六山、そして「独り言ナンバー1」に三段目五実ヶ島が選ばれた。

　今年は例年になく評議が難航し、発表が予定より15分も遅れた。が実は、評議員の全員がそろって寝坊したためであるらしい。

　過去における受賞者を見てみよう。昨年は７名もの受賞者が出したが、なかでも横綱沖亜未が「ドケチナンバー1」を受賞直後に急死したのは記憶に新しい。 原因は餓死であるというが、どうやら「ケチケチ生活主婦の知恵　〜1年で5000万円貯める生活術を大公開！」という番組に感化され、“飲まず食わず”の生活を続け、稽古そっちのけでせっせと金を貯めこんでいたが、とうとう飢え死にしてしまった、というのが真相のようだ。死の直前、授賞式に出席した横綱の体重はわずか32kgしかなく、げっそり痩せ細り、死線をさまよいかけていたにも関わらず、親方はもちろん、誰もそのことを気にしなかったのはいったいど ういう意味であろうか。大相撲七不思議の一つである。

　また、11年まえに「仏頂面ナンバー1」を受賞した、ハミ出し大関貴乃爪は６年前に「抱かれたくない力士ナンバー1」に選ばれ、さらに4年前には「ウンコが臭そうナンバー1」を受賞、そして今年は「こいつの死を見取るのだけは勘弁だナンバー1」をも受賞するなど、歴代受賞者の中でも一段と嫌われているのが分かる。

　ところで、歴代受賞回数最多記録を有するのが、小兵力士として活躍し前頭在位51年を誇った伝説の前頭『琴稲光』である。琴稲光は過去６回の受賞を数え、現役時代に4回、親方時代に1回そして死後に1回、を受賞している。受賞した全タイトルを列挙すると、「寝相が悪いナンバー1」（31年前）、「まわしが猛烈に臭いナンバー1」（25年前）、「相撲のルールを知らなさそうナンバー1」（24年前）、「ジャージが似合うナンバー1」（18年前）、「のど仏が大きいナンバー 1」（9年前）、そして死後「家族から見放されているナンバー1」（2年前）となっている。

　さらに変わったところでは、「計算が弱そうな力士ナンバー１」の永世序二段奇雷砲や「ひとりＳMナンバー１」の前頭金工竜、それから「スリッパ好きナンバー１」の前頭択捉山、そして「盆栽家ナンバー１」の名誉小結毒乃花など個性的なメンバーがひしめいている。

　さて、来年はいったいどんなナンバー１が誕生するのだろうか。っていうか、来年も続くの？

Byまろ

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