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教育・文化:更新2005/04/15 歴史教科書、掲載画像にクレーム 連日報道されている中国の反日デモ。これらの背景の一つに、中学社会の教科書における記述に対する強い反発があるといわれている。そうした中、これとは別に、ある高校社会の教科書に対して、一部女性団体と大日本PTA連合組合がクレームをつけていることが本誌の調べで明らかになった。 問題の教科書はH出版の「新選 相撲史B」。「相撲史」とは耳慣れない科目名であるが、これは「日本文化を詳しく知っていてこそ真の国際人」との中央教育審議会の答申を受けて新設された高校の社会科の一科目である。ちなみに、同様に新設された新科目には、「日本プロ野球史」「日本芸能史」「日本性風俗史」などがある。 さて、クレームがついたのは同書の第6章「見世物相撲の変遷」中の写真・図。クレーム主である団体の代表の話。「売れればいいという風潮にはもう我慢できない。もう男たちに社会は任せていられない。男社会なんてもう真っ平。男なんてみんな死んでしまえばいい。あるいは男はみんな女性の奴隷になればいいんだ。」といった内容であるらしい。そこで編集部は早速その教科書を入手し、調査にあたった。章立ては以下のような感じだ。
一見すると、何の変哲もない相撲の歴史に関する入門書、といった印象である。最初のページから16ページにわたって相撲に関するカラー・グラビアが並び、その写真は力士の埴輪であるとか、大和絵に見る花相撲、浮世絵、明治・大正期の力士、昭和の名力士(双葉山や大鵬、双羽黒など)といたって普通であり、そこにはおおよそクレームをつけられるスキなど一切ない。むしろ勉強になる、などと思いながら読み進めていき、問題の第6章に至った。 「第6章第1節−巨人力士と肥童力士−」、これはいわゆる江戸勧進相撲における土俵入りのみを行った力士についてである。当時は、極端に体の大きい成人男子や男児を土俵に上げ、相撲は取らせずに土俵入りだけを行わせていた。記録では、2メートル30センチを越える巨人力士や7歳にして80キロの体重を誇る子供が存在したという。 そして「第3節−女相撲−」。どうやら、諸団体の逆鱗に触れたのはこれのようである。早速、その中身を確認しようと思ったところ、なんとその第3節、袋とじであることが判明した。これは教科書にあっては極めて珍しい措置である。その真意を尋ねるべく、H出版に急ぎ連絡をしたところ、きわめて明快な答えが返ってきた。
詳しく聞いたところ、袋とじの措置は文科省の検定意見に従った結果だそうだ。「わいせつ図画頒布」、袋とじの指示・・・。教科書でそれに該当するのは中学校の保健体育ぐらいだ。ますますその中身が気になるところである。はやる気持ちを抑えながら、カッターナイフで慎重に開封作業を行った。開けた瞬間目に飛び込んできたのは、昭和50年代、首都圏のビアホールで実際に行われていたという女子大生による裸相撲の、見開き2ページを使った壮絶な取り組み写真であった(無修正)。キャプションもご丁寧に「××ビル屋上(編注・教科書では実名)で行われていた女子大学生による相撲公演/観客はほろ酔いの中年男性が多く、かなりエキサイトしている様子がうかがえる」などとある。これは、いわゆる「エロ本」に耐性がなければ、人によってはトラウマにもなりかねまい。貴重な史料に興奮した編集部は第3節を丹念に読み込んでいくことにした。 まず、本文の記述そのものは至ってまともである。日本書紀に記されている景行天皇の時代の女官による裸相撲のエピソードや、江戸時代の見世物としての女相撲、女相撲と盲相撲のフュージョン、そして地方に根付いた各地の女相撲に関して淡々とまとめられている極めて秀逸なものであった。特に、昭和期における第一人者・N村京子氏に関する記述は絶賛に値するものであろうと思われる。
H出版の崇高な理念は、教科書を読めば十分に伝わってくる。再現写真もちゃんと若くて美しい(成人用ビデオ専門の)女優を起用するなど抜かりはない。教科書といえば、無味乾燥で参考書にもならないという悪いイメージが伴うものであったが、今年の教科書検定からは発展的内容をふんだんに盛り込むことを大いに認めているという。その流れの中で生まれたこの「新選 相撲史B」は、本当の意味で生徒を勉強駆り立てる魅力的な教科書のさきがけになることであろう。H出版には、クレームに屈することなく、わが道を貫いて欲しいものだ。 ら王 ※文部科学省検定済み教科書は、学校指定の書店でしか購入することができません。ご注意下さい。 |
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